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【書き起こし】 森川博之さん 「5Gの正体を語る」

プロから直接学べる音声メディアVOOX。10分×全6回のコースのうちの、第一話「そもそも5Gとは」を完全書き起こしで紹介。東京大学大学院工学系研究科教授の森川教授が、5Gとはいったい何で、社会にどのようなインパクトをもたらすのかを解説します。

(オープニングジングル)

森川:

皆さんこんにちは、初めまして。東京大学大学院工学系研究科教授の森川博之です。今回よりお送りする5Gの正体では、第5世代の通信規格5Gの基本から、それが普及してビジネスはどう変わるのかを考えていきたいと思います。


初めにですね、私のことをご存じない方もおられるかと思いますので、まずは自己紹介からさせてください。私は専門分野、研究分野は情報通信工学、あるいはモノのインターネット、M2M、ビッグデータ、無線通信、センサーネットワーク、情報社会デザインとかいう分野になりますが、一言で言うと、「デジタル」っていう分野になるんだろうかと思います。1992年に博士を出ました。実はそれまで大学院の時には、僕はメディアをやってまして、その助手、講師になるときに「通信をやれ」と言われました。「今ここで決めろ」と言われまして「わかりました」という消去法で選びました。92年ですので、通信がこんなに華やかになるとは思ってもいなかった時代です。携帯電話は一応あったんですが、まあ普及することはないよねと。インターネットもありましたが、まあ普及しないよねと思ってたのが92年で、そこから通信の分野に入ったんですけれども、この30年ぐらい本当に世の中大きく変わったなと思っております。


今はデジタル全般のお手伝いをさせて頂いてまして、ビッグデータ時代の情報ネットワーク社会はどうあるべきか、あるいは情報通信技術はどのように将来の社会を変えるのか、そのような点に関して、明確な指針を与えることが出来ればと思って活動をしております。そのためにもですね、あのデジタルっていうのは皆さんご案内のとおり、生産性の向上につながるための非常に重要なツールとなります。そのデジタルを社会の隅々にまで浸透させるべくお手伝いしておりまして、なるべく地方にも出向くようにしております。地方の経済同友会、商工会議所、あるいは地銀のセミナー、中小企業の関心も非常に高くなってきておりますので、ここ数年で、たぶん全都道府県回らせていただきました。地方が元気になって、さらには日本が元気になってという思いから活動をしております。霞ヶ関だと総務省とか経済産業省、国交省などで、会議等でも参加させていただいているのが、森川になります。以上、ちょっと自己紹介が長くりましたが、これから5Gに関してお話したいと思います。


5Gが注目される3つの理由


まず5Gがなぜ着目されているのか? 3つあろうかと思います。1点目が、新しいビジネスが生まれる余地が生まれている。どういうことかと言いますと、通信インフラというのは、新しくなると必ず新しいビジネスが生まれています。これは歴史が証明しているものでございまして、インターネットも皆さんご案内のとおりしかりでございまして、インターネットが出てきたことによって、検索エンジンとか、セキュリティとか新しいビジネスが生まれてきたわけです。3Gの時には、インターネット接続ということで、コンテンツビジネスが出てきたわけですよね。ということで、通信インフラが新しくなると、必ず新しいビジネスが出てくるというのが1点目。


2つ目はですね、巨大な市場でございます。5Gを取り巻く市場は非常に巨大でございまして、基地局しかり、あるいは基地局までの優先部分の光回線、あるいはネットワーク装置、端末という5Gのメインのところだけでも市場が膨大ですが、その周りのところのコンテンツとかサービスまで含めたら、さらに非常に大きな市場があるというのが2つ目の理由。3点目がですね。あらゆる産業領域が対象となるということで、人からモノへ、B2CからB2Bというお話は後ほどまたさせて頂きますが、モノが対象になるということで、全ての方々が5Gと何かしらの形でビジネスで接点が出てくるというのが、5Gが大きな関心をもたれているところだと思います。このような5G、一般の方々も本当にありがたいことに5Gに対して強い関心をお持ちいただいてますが、皆様方はもうご案内のことだと思いますが、一点だけ確認させて頂きたいのが、5Gと言っても無線部分と有線部分から成り立っているのが5Gです。


スマホから基地局の間は無線部分ですけど、基地局の向こうは光ファイバーですので、光ファイバーがなかったら5Gはダメだということです。逆に考えると、光ファイバーの敷設率が非常に高い日本は、5Gでも優位な状況にあるということで、光ファイバーがほとんどであって、最後のラストワンマイルっていいうところが無線だというのが、5Gになってるっていうのは、初めに確認させて頂ければと思います。


早いだけじゃない!5Gの3つの特徴


このような5Gなんですが、特徴は3点ございます。「超高速大容量」というのが1点目、2点目が「超低遅延」、3点目が「多数同時接続」。この3点が5Gの特徴になってます。ただご留意いただきたいのは、5Gといっても4Gの技術をベースに性能を向上させたものになってますので、5Gになったからといって一足飛びに生活様式が変化するとか、なんか画期的な新しいサービスが出てくるというわけではございません。4Gの性能を良くしていったっていうのが5Gです。しかし、それが世の中に大きな影響を及ぼすかもしれないと思っております。


1点目の「超高速大容量」。これは4Gの100倍となる毎秒10ギガビットパーセコンド(10Gbps)というですね、ギガビット毎秒以上の通信速度が実現できるというものでございまして、まあ4Gだと約5分かかっていた2時間程度の映画を、約3秒でダウンロードできるようになるというのが1点目の超高速大容量。これは非常にわかりやすいと思います。早いっていうのが1点目です。2つ目「超低遅延」。これ基地局と端末との間でデータのやり取りをするときの遅延時間が大幅に減るというものでございまして、1ミリ秒というところまで短くなります。自動運転とか、遠隔手術の支援とか、そういうリアルタイムに制御しなければいけないようなものに対しては、この指示伝達のズレというものが非常に大きな影響を及ぼしますので、そのようなものがなくなっていくっていうのが、「超低遅延」という2つ目の特徴になります。3点目。あるエリアで、基地局に膨大な数のモノが接続できるというのが「多数同時接続」。1平方キロメートルあたりで最大100万台という、膨大な数のモノが5Gにつながるということが3点目になります。この3点のうち、 社会に与えるインパクトが大きいのは、2つ目の低遅延と3つ目の多数同時接続になります。これは4Gまでは皆さんご案内のとおり、サービスの対象は人であったわけです。しかしながら5Gになると、「超低遅延」と「多数同時接続」というのはモノが対象になります。


5Gでは車あるいはセンサーなど、ありとあらゆるものが対象となります。5Gはモノまで対象にしますので、すべての産業領域が5Gの対象となって、デジタル変革が5Gで加速されることになります。5Gに強い関心が持たれているのは、このためになっているわけです。誰もがですね、皆さん誰もが5Gに向き合って行かなければいけない。それが5Gだと認識しています。


それでは5GのGに関して、最後にさらっとお話をさせてください。Gは世代のジェネレーション(Generation)という意味です。携帯電話は10年ごとに世代が変わってきました。1980年代の1G、これアナログの時代です。初めて外出先で電話かけられるようになってきた。1990年代が2Gというデジタルの時代です。この時に、90年代の後半に携帯が普及していった。ちなみにドコモが設立されたのが1992年です。日本電信電話から移動通信事業の営業譲渡がなされまして、ドコモっていう会社が設立されたわけですが、92年多くの同期もNTT、日本電信電話からドコモに転籍したんですが、今から考えると笑い話なんですけれども「この会社は潰れるのではないか」と。「何年持つんだ?」というのが92年の段階だった。NTTでも営業してたんですけど、ずっと赤字が続いていたというのが92年。それが2Gの時代です。それで3Gになって、2000年代ですね、iモードが出てきて、2010年代には4Gになって、スマートフォンとかシェアリングサービスが出てきて、それで2020年代に5Gになってきたというのが、ざっくりした流れとなります。


「低遅延」「超高速大容量」「同時多数接続」この3つが5Gの特徴となります。この可能性を秘めた5G、具体的にはどのようなことが可能になるのか次回ご紹介したいと思います。以上、森川博之でした。

(以上、書き起こし終了)



「5Gの正体を語る」 全6話 60min

1. そもそも5Gとは

2. 制約からの解放

3. 5Gを支えるテクノロジー

4. ゲームチェンジと覇権争い

5. DXを支える5G

6. 5Gにどのように向き合えば良いか​​


森川博之

東京大学大学院工学系研究科教授。

東京大学工学部電子工学科卒業、博士。IoT、M2M、ビッグデータ、センサネットワーク、無線通信システム、情報社会デザインなどの研究開発に従事。OECDデジタル経済政策委員会副議長、総務省情報通信審議会部会長、新世代IoT/ M2Mコンソーシアム会長等。著書に『5G 次世代移動通信規格の可能性』がある。



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