【テキストで読む】田中慶子さん「英語の学習、続ける極意」

学びに特化した音声メディアVOOX。10分×全6回のコースのうちの、第1話「あなたが挫折するのは意志が弱いからではない」をテキスト化してご紹介。英語の学習が挫折するのは、あなたの意思が弱いからではないという点から、どのようにしたら英語が身につくのか、第一線で活躍する同時通訳者の田中さんが、丁寧に解説します。

皆さん、こんにちは。同時通訳者の田中慶子です。今回から、『英語の学習、続ける極意』というテーマでお話ししていきたいと思います。初回の今回は、「あなたが挫折するのは意志が弱いからではない」というお話から始めます。

その前にちょっとだけ自己紹介をさせてください。私は今でこそ、この同時通訳者という所謂英語のプロというような仕事をしていますけれども、元々英語ができたわけではありません。むしろ学生時代は不登校で全く勉強はしていませんでした。なので、高校はもうほとんど卒業できないんじゃないかっていうぐらい、ギリギリの出席日数でなんとか卒業して、大学進学はとてもできる状態じゃなかったので、逃げるように海外に出てきました。そこで語学学校ですね、英語を学ぶという学校に入りましたが、ここでは正直ほとんど英語は身につきませんでしたね。半年間名目上、英語を学んだということになっていますけれども。そして日本に帰ってきて、その後紆余曲折あったのですが、再び海外に行きます。再び海外に行った後は、NPO活動をして、国際交流とか異文化理解のようなことをプログラムの中で活動として学んでいました。そこでは、所謂サバイバルイングリッシュですね。毎日周りの人たちもみんな共通言語が英語なので、英語しか話さない。

そしてホストファミリーにお世話になっていたので、ホストファミリーの皆さんとお話しするのも英語という状態でした。その後、ホストファミリーの方のアドバイスというか勧めもあって、アメリカの大学に進学したんですね。そこで初めて、英語での読み書きをしました。英語を学ぶということから、英語で学ぶという経験をそこで初めてしたんですけれども、この 時は日本での学生時代は、全く嘘のように一生懸命勉強しまして、それなりに英語力を身につけて、日本に帰国をしました。その後は、日本の企業それから外資系企業で仕事をしていたんですけれども、これもあまり続かずですね。そして、NPOにその後転職をしまして、NPO活動をしていたんですが、そこでもまた失業してしまい、失業を期に同時通訳者になりました。これをフリーランスとして今は働いています。なので、本当に今振り返ってみても、正直サバイバルイングリッシュの積み重ねですね。

海外に全く英語が話せないのに出ていったところから、大学で英語で学ぶということ、それから、その後は英語を使って仕事をする。そして今は、同時通訳者として、プロとしての英語、これを毎日使っているわけですけれども、それも日々勉強しながら、自分の首を傾げながら、サバイバルイングリッシュを繰り返しているような毎日ですね。

英語の勉強が続かないのは、意思が弱いからではない

そんな私が、今回は英語が苦手あるいは英語を学びたい、使いたいけれども、なかなか続かないといった方にお話しできることがあるかなと思って、自分の経験も交えてお話していきたいと思います。それで、英語のお悩みで多いのが、続かないんですっていう悩みなんですよね。これよく悩みでご相談してくださる方、結構悲壮な顔して、私意志が弱いんです、ってご相談されるんですよ。これはね、本当もう絶対的に私は否定します。英語の勉強が続かないっていうのは、意志が弱いからじゃないんですよね。むしろ、そうやって私意志が弱いんです、って 仰る方はすごく真面目で、自分のことを責めがちなので、まずそれはやめてください、と私はお伝えしたいです。

私ね、よくやる気は贅沢品って言うんですけれども、気持ちって不安定なんですよね。例えば、ものすごい嬉しいことがあっても、ああやった嬉しい!とか思っていても、この嬉しい!幸せ!私の人生最高!っていう気持ちって、次の日とかあるいは翌週とか来月とか、ずっと続くわけないじゃないですか。それぐらい気持ちって不安定なものなので、ましてや語学って、かなり継続的な努力が必要なものをやる気、気持ちあるいは意志の強さに頼ろうとしても、これそもそも無理な話なんですよね。さらに言えば、現代人私達みんな忙しいじゃないですか。だから、切羽詰まってもいないことをやる気だけでやろうと思っても無理です。優先順位が低いことは後回しになります。そういうことを続けていく内に、英語の勉強しようと思ってたのに、今日もサボっちゃった。そして、サボっている日々が1週間、2週間、3週間となってくると、できていない自分と向き合うのが段々嫌になってくるんですよね。

英語の学習に必要なのは「仕組み」を作ること

だから最終的には、もう英語のことはなかったことにしようっていう風に、英語からどんどん離れてしまう。そんな悪循環に入ってしまう人が結構多いと思います。なので、私がお伝えしたいのは、英語を学びたい、継続したいという時には、やる気、意志の強さに頼るのではなくて、仕組みを作りましょう、っていうことなんです。やる気を当てにするのをやめましょう。そして、やる気がない時でも実行できる、続けられる 仕組みづくりっていうものを考えて欲しいんですよね。仕組みということで考えると、まず英語が使えるようになった人っていうのを見てみると、だいたい切羽詰まって必要に迫られて、っていう方多いんですよね。かく言う私もその一人です。で、この切羽詰まった状態に置かれるというのは、強力な自分の 意思とは関係なく、やらなければならないという仕組みに組み入れられるということになるかと思います。なので、英語も使わなければいけない、どうしようもないサバイバルがかかっているというような、そんな状況になると、仕方なく覚えていく、使えるようになっていく、ということがあると思うんですね。

ただ、日本に暮らしていると、使う機会すらない英語を切羽詰まって何か学ばなきゃいけない、という状況になれない。これが実は、続かないという一つの理由でもあると思います。使う機会がない、そして切羽詰まっていない、ということですね。なので、なかなかその状態に入ることができない、ということであれば、自分で意図的に仕組みを作る、自分の意思に頼らなくても動ける、という状態を作っておく、っていうのが大事だと思うんです。そういった意味で、自分のこの頼りにならない、明日も明後日も来週も来月も、やる気っていうのは今のレベルで続くわけではないので、やる気がなかったとしても、何とか動ける、そして行動に移せる、継続できる、そんな仕組みを考えていきたいと思います。

ということで、今回は「あなたが挫折するのは意思が弱いからではない」というお話をさせていただきました。次回からは、仕組み作りの具体的なお話をしていきます。次回、第2回では「習慣化の仕組みを考える」というテーマでお話します。

以上、田中慶子でした。

「英語の学習、続ける極意」  全6話 60min
1. あなたが挫折するのは意志が弱いからではない

2. 習慣化の仕組みを考える

3. 挫折しない学習プランの作り方

4. 「学ぶ」より「使う」が学習効果あり

5. 苦手はピンポイントで克服する

6. 「英語力」ではなく「英語術」を身につけよう!

田中慶子

愛知県出身。劇団研究員、NPO活動を経てアメリカ最古の女子大であるマウント・ホリョーク大学を卒業(国際関係論専攻)。帰国後は衛星放送、外資系通信社、NPO勤務の後、フリーランスの同時通訳者に。天皇皇后両陛下、総理大臣、ダライ・ラマ、テイラー・スウィフト、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム、U2のBONO、オードリー・タン台湾デジタル担当大臣などの通訳を経験。 2010年、コロンビア大学にてコーチングの資格を取得し、現在は通訳の経験をもとに、ポジティブ心理学なども取り入れたコミュニケーションのアドバイスをするコーチングの分野にも活動を広げている。2020年、慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科修了。デザイン思考を用いた英語学習法を研究。

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