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耳から学ぶ音声メディアVOOX。各コースの1話目のエピソードを書き起こしでお届けします。興味のあるトピックスを見つけたら、続きはぜひアプリで、本人の肉声でお楽しみください。

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【書き起こし】篠田真貴子さん 「聴く力」を語る

プロから直接学べる音声メディアVOOX。10分×全6回のコースのうちの第一話「オフィスとは真面目な場所なのか?」を完全書き起こしで紹介します。「聞く力」が持つ主体性と効果を示すとともに、どのようにすれば「聞く」ことで自分の可能性を広げることができるか、エール株式会社取締役、篠田真貴子さんが語ります。


(オープニングジングル)

篠田:

皆さんはじめまして、エール株式会社取締役の篠田真貴子です。今回よりお送りする、聴く力が仕事に活きるでは、聴く力が持つ主体性、それからその効果、あと聴く力の可能性をお伝えしていきます。「聴く力」って言われても、まあ当たり前ですよと、いつも聴いてますよと思う方。あるいは逆に、なんで聴くと力っていうふうに結びつくんだろうって、ちょっと不思議に思ってくださる方もいらっしゃるかもしれません。でも、そんな皆さんにこそ聴いて頂きたい内容です。


まず、私の経歴からご紹介します。私は別に資格をもって聴くを伝道してるわけでもなんでもなくって、基本ずっとビジネスの世界で仕事をしてきました。今いるエールは6社目で、それまで大学を出てから日本の大手の銀行、それから外資系の経営コンサルティングの会社、製薬会社、食品の会社、それから小さいクリエイティブ系の会社に入って、そこの管理部門を統括して株式上場して、というような経験を積んできています。ですので、この中にはぜんぜん聴くとかいう要素はないし、事業にしてたわけじゃないんですが、振り返ってみたときに、人の話を自分が聞けたとき、あるいは聞いてもらった経験がすごく自分の糧になってきたなあ、ということに思い至りまして、思い立った時に今のエールという会社に出会ったんです。


このエールの事業内容は、ここで聞いていらっしゃる皆さん多くの方がそうかなと思うんですが企業で働いている方に、社外の方をパートナーのように一対一で付いていただいて、週一遍30分、一対一の面談、つまり「1 on 1」っていうのをやっていただくというサービスをしています。この社外の方っていうのは実は副業の方がほとんどなんで、ほかの会社で仕事してる方なんですね。こういった一対一の面談、1 on 1 を折り返すことで、その話をする方、聞いてもらう方が自分の考えや感情というものが、だんだん言葉になって整理されて、その方の成長だったり、組織が良くなっていく方に貢献する。こんなビジネスをやっています。


今はビジネスの領域としては、聴くっていうものを中核価値にして行っている、こういうベンチャーにおります。こういった仕事に携わるようになりましたので、私も最近は聴くっていうことについて考える時間も多いですし、考えたことをいろんな方にお話する機会もいただくようになりました。なったんですけども、じゃあどんだけできてるかって言うと、けっこう怪しいもんで、いま多少マシになったとは思いますが、それでも過去はほんとうに聞けない「The 聞けない人間」みたいな感じでした。例えばお話をしていても、人の話を遮ってまで自分の主張を通そうとするですとか、あるいは会議に黙って聞いてる方は価値がないと言いますか、何をしているのかこの人は? っていうように、ちょっと内心見下すとかイラっとするぐらい、聞くっていうことをむしろ低く見ていたし、自分が話すことにすごく自分の存在意義を見出すぐらいのものだったと思っています。いま振り返ると、それはちょっと誤解であったなと思うわけなんですが、誤解だったっていう話は、ちょっと次回以降にしますので、まず今日はですね、イントロとして、ちょっと意外なところ。子供用の本の中から聴くっていうことをビビットに私たちに教えてくれるものを1つご紹介していこうと思います。

モモに学ぶ「聴く」の理想

本のタイトルは『モモ: 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語』というものです。著者はミヒャエル・エンデさん。ドイツの方で、児童書としてもう50年以上前に出版されていると思うので、もしかしたらこれ読んだことある、あるいは小学校の図書室で見たことあるっていう方もいらっしゃるかもしれません。今は岩波少年文庫から出てますが、私自身、小学校6年生の時にこの本に出会って以来、私の中で最も大事な本の一つで、その当時買った本を今も持っています。基本このサブタイトルにあるように、本の主題は「時間泥棒」、つまり時間というものを人間がどう使うかというお話なんですけれども、今日の主題の聴くに関していくと、もう一つタイトルには出てない主題があって。


主人公の名前がモモなんですね。モモは小さな女の子です。この女の子がほんの初めから「聴く力」を、もうめちゃくちゃ発揮してるんですよ。設定としてはモモはどうも身寄りのない子で、街のはずれの遺跡みたいなところに、一人でいきなり住み着いて暮らし始めるんですね。だからまあ、ちょっと浮浪児なわけですよ。なんですけど、この子がとにかく話を聞いてくれる。


その聴く様子が本の中でこういう風に書いてあるんですけれども、“小さなモモにできたこと、それは他でもありません。相手の話を聴くことでした。モモに話を聞いてもらっていると、馬鹿な人も急にまともな考えが浮かんできます。モモがそういう考えを引き出すようなことを言ったり、質問したりしたというわけではないのです。彼女はただじっと座って注意深く聞いてるだけです。その大きな黒い目は、相手をじっと見つめています。すると、相手には自分の何処にそんなものが潜んでいたのか、と驚くような考えがスッと浮かび上がってくるのです。モモに話を聞いてもらっていると、どうしてよいかわからずに思い迷っていた人が、急に自分の意思がはっきりしてきます”。


今読んだところのほかにも、例えば元々想像力がたくましかった人が、もっとたくましくなって素敵な物語を生み出すであるとか、モモにとにかく聞いてもらっていると、周りの人たちがその人の持ち味をどんどん花開かせていく様子が描かれていて、町の大人たちの中でも、合言葉は何かあったらモモに話に行ってごらん、っていう風になるんだと。こういう描かれ方をしているんですね。これこそ聴くっていうことができたときの一つの理想的な姿だなあと、いま私は思っています。


聴く側によってコミュニケーションは変わる

つまり、私がどなたかの話を聞いた時、私も予期しないような、その方の中の考えとか感情が2人の間でちょっと見えてきて、その結果、その人が凄く元気になって、いままでにない力を発揮されるっていうことまで行く可能性、そこまで行かないにしても、一緒にじっくり話をした、あるいは私が聴いた時間を持ったということが、信頼関係の土台になる。あるいは長く知り合ってきた方でも、新しい2人の関係の土台になるということをこれまで経験してきました。


ですからコミュニケーションって、考えてみれば当たり前ですけど、話す側と聴く側がいて成り立つわけですが、ついつい、かつての私がそうであったように、話す方ばっかりものすごく意識が向くんです。なんですけれども、今のモモの例にあったように、聴く側がどうあるかによって、コミュニケーションがすごく変わってくる。コミュニケーションを良くしたいって言った時に、聴くっていうことに注意を向けた時のポテンシャルっていうのは、私達はまだあんまりできてなくて、これからなのかなというふうに考えています。

忙しい毎日で、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃっていう中ですと、なかなか聴くっていうところに注意が向けづらい毎日なわけですけれども、せっかく聴いていただいているので、次回から具体的な「聴く」っていうことは何かっていうことを、少しずつお話していこうと思います。ここまで聴いていただいたら、ちょっと感じていただいたかもしれないんですけれども、やっぱり仕事においても聴くということが少し発揮できるようになると、新しい情報が手に入ったり、新しい関係ができたり、最終的に新しいリーダーシップのスタイルをご自身が作っていかれる一つのきっかけになるかなと。「聴くは仕事に効く」と思っております。以上、ここまでの相手は篠田真貴子でした。

(以上、書き起こし終了)




「聴くチカラ」全6話 60min

1. 「モモ」に見る傾聴の力

2. 聴くことの誤解

3. 実は対話は「聴く」から始まる

4. 聴くときの心得

5. 仮説を持って聴く効果は?

6. 聴くことは他人のため?自分ため?



篠田真貴子

慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルバニア大ウォートン校にてMBA取得。日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレ、ほぼ日、1年3カ月のジョブレス期間を経て、現在はエール株式会社取締役。


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