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【書き起こし】原野守弘さん 「クリエイティブ 入門を語る」

プロから直接学べる音声メディアVOOX。10分×全6回のコースのうちの、第1話「ビジネスとクリエイティブの分断」を完全書き起こしで紹介。ビジネスパーソンからクリエイティブの世界に転身した原野守弘さんが、ブラックボックスのように見えるクリエイティブの世界の秘密を解説します。

(オープニングジングル)

原野:

こんにちは、クリエイティブディレクターの原野守弘です。初回なので、まず自己紹介から始めさせていただきます。僕は大学卒業して最初、電通という会社に入りまして、その後、ドリル、PARTYというクリエイティブブティックを起業しまして、現在は株式会社もりというところで、クリエイティブディレクターをやっています。ずっとクリエイティブをやっていたわけではなくて、34歳からクリエイティブの世界に入りました。それまでは電通にいたんですけども、メディアのセールスマン、媒体担当と言ったりするんですけども、そういう仕事をしていました。そういう形で、34歳から突然クリエイティブの世界に入ったので、もう最初はわからないことだらけだったんですけれども、1番最初に気付いたのは、ビジネスパーソンと、いわゆるクリエイターっていう人たちの間にある分断のようなものなんですね。


初めてクリエイティブの人たちとの会議をすると、クリエイティブがすごく魔法に見えたっていうのを覚えてるんですよ。クライアントさんがオリエンテーションということでくれるパワーポイントって、すごい分厚くて文字もたくさん書いてあって、ほとんど読むことを拒絶しているというか、そういうものが多いんですけども、それが最後クリエイティブの人の仕事でたった1枚のポスターになる、15分のコマーシャルになる、そうなった時にはすごいメッセージがクリアになってる。そういうものが魔法に見えたんですよね。まぁ僕も魔法って言っていられないので、自分で作る立場になったんで、色々試行錯誤しながらやってくわけなんですけれども、考えても考えても、やり方っていうものは分からない。意外と先輩とかに聞きに行っても、「いや、そこはちょっと暗算なんだよ」みたいな言い方をされちゃって、なんか教えてくれないっていうか。ひょっとしたら、今思うと説明できなかったからかもしれないんですけども、そんなことですごい苦労してました。


ただ、長いことかけて色々な仕事をしていくうちに、やっぱりおぼろげに見えてくるというか、自分なりに「あ、こういうことかな?」っていうふうなことがわかってくるわけです。今になって振り返ってみると、当時はクリエイティブって結構ブラックボックスみたいな感じ。さっき言ってたような、パワーポイントのすごい書類が、そのブラックボックスに入ると全然違う新聞広告とか、15秒のコマーシャルとかになって出てくるみたいに見えてたんですね。魔法にも見えるってそういうことなんですけど、実はブラックボックスじゃなくて目を閉じているだけなんだなということに、ある時気づくんですね。ある種、開眼というか。これは、実は現在ビジネスパーソンの仕事をしている方にも当てはまるんじゃないかなって思っています。最近はどんな産業でも、クリエイティビティというのはすごく重要になってきていると思っていて、その創造性みたいなものを磨きたいと思ってらっしゃる方がいると思うんですけども、書店に並んでいるクリエイティブの本を手に取ったりすると、ビジネスパーソンが書いたものではないクリエイターが書いたものなんで、その分断は超えている人が書いてるから、暗算って言ってた部分がわかる、ブラックボックスの中身も知っている、なので、意外と取っつきにくいんじゃないかなと思うんですよね。僕自身がそうだったので、2021年の1月に『ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門』という本を書きました。


「好き」がクリエイティブの原理

これはさっき言った、ブラックボックスじゃなくて目を閉じているだけだなって気づいた時に、僕が何を知って、どういうふうに気付いたかということを、丁寧に説明していったんですね。少し大げさに言うと、「クリエイティブの原理」みたいなものかもしれません。クリエイティブの原理というのは、基本的に言うと、シンプルに好きっていう感情なんですね。多くのビジネスパーソンは好きっていう感情、そういうものはなんか曖昧なものとか、個人的なものとか、あるいはちょっと特異点、好きっていうのはそもそも個人的なものなので、特別に存在しているものみたいに見えて、仕事の中では結構無視しがちだと思うんですよね。会議の中でも、「私これが好き」とかそういうことを話すと、「いや、それ聞いてないよ」みたいに言われちゃうことが多いと思うんですけど、どっちかって言うと、そういう個人的なものと言うよりは、平均とか最大公約数的なものを信じて調査とかリサーチとか、そういうものに頼ろうとすると思うんですね。これがまあ、僕にとってはどちらかというと、「そっちの方が不安定なものなのにな」と感じるんですね。理解みたいなもの、なぜその理解したものが真実だと信じられるんだろうって思うんです。まあ、理解という名の宗教みたいなことかなと思うんですね。


人間っていうのは信じたいものを信じるっていう習性があって、これはあらゆる悪徳業者とか、詐欺とかがベースにしている人間の特徴ですね。それを利用されちゃうと、詐欺とかに引っかかっちゃうということなんですけれども、まあ世の中すべての調査とかリサーチが詐欺だとは言わないんですけれども、ひょっとしたら、調査とかリサーチを信じたいから信じているだけなんじゃないの?っていう風に思うことがあります。一方で世の中で、ものすごく成功したもの。例えば音楽業界だったらビートルズとか、映画だったら『男はつらいよ』とか、プロダクトで言ったらiPhonみたいなものとか、そういったものは調査とかリサーチから生まれてないんですね。まあ、そうですよね。ビートルズがなんかマーケティングリサーチして作曲してたとか、そういうことあるわけないですし、iPhoneも、あれを作ったスティーブジョブズという人は調査とかリサーチが嫌いなことで有名なビジネスマンだと思うんですね。


一方で、霞ヶ関に勤めている東大とかハーバード大学とか卒業した、すごい頭が良い官僚の人たちが使ったリサーチに支えられて書かれているはずの総理大臣のスピーチというものが、まったく心に響かない。それは何なんだろうなっていう風に思うんです。その理由をすごく僕は興味があって、知りたかったんですね。なんでリサーチとか調査とか、そういったものに頼る。まあ、それは普通の事だと思うんですけど、それがあまり結果を出してなくて、意外とその音楽家とか映画監督とか、あるいはスティーブジョブスみたいな、ちょっとエクストリームな経営者の個人的な好きっていう感情から出発しているものが大きくヒットするのか? そのメカニズムのようなものを『ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門』という本にまとめました。


今回は第1回ということで、自己紹介と、ビジネスとクリエイティブの分断っていう僕が持っている問題意識を共有させてもらいました。次回は「好きが人を動かす」っていうテーマで、どうしてそういう人間の好きっていう感情が重要なのかっていうことについてお話したいと思います。



(以上、書き起こし終了)



「クリエイティブ 入門を語る」 全6話 60min

1. ビジネスとクリエイティブの分断

2. 『好き』が人を動かす

3. 『好き』と言うプログラム

4. 最も個人的なことが、最もクリエイティブなことだ

5. クリエイティブ必勝法

6. 自分の「好き」をどのように育てるか​​


​​原野守弘

クリエイティブディレクター。『ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門』著者。電通、ドリル、PARTYを経て、2012年11月、株式会社もりを設立、代表に就任。経営戦略や事業戦略の立案から、製品開発、プロダクトデザイン、メディア企画、広告のクリエイティブディレクションまで、広範囲な分野で一流の実績を持っている。

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